猫とニンゲンの信頼関係

シーちゃんは我が家に来てから半年間、その姿をまともに見せることもなく、家の中に警戒心の強いノラ猫がどこかに潜んで暮らしている・・・という状態が続いていた。それが、2007年12月初旬に旅行で1週間留守をすることになり、近所の友人:自称ネコの召使いさんにシッターをお願いしたのだが、そのときのニンゲンに対する態度の違いには驚かされた。シッターに来てくれた友人(ネコの召使いさん)がレポートしてくれたシーちゃんは、いったんは隠れるもののゴエ門が出て行くと、続いて自分も姿を見せ、食事の支度ができると友人の手から大好物のチーズのかけらを食べたというのだ!当時、食事の支度をしても(今もそうだが)シーちゃんは私が見ている前では決して食事を取らず、ニンゲンが寝静まってからトイレや食事をするのが彼女の習慣だとばかり思っていた。ところが、世話するニンゲンが違うと態度が違うと判明。よっぽど嫌われているというか、信用がないんだなぁ・・・とショックだった。でも人馴れしないネコだけに、時間をかけてだんだんとコミュニケーションが取れてくると、その信頼関係の進歩にすごく嬉しい気持ちにさせてもらうこともたくさんある。友人いわく、「シーちゃんはすごく頭の良い子だから、ちゃんと状況や様子を理解しているよ」と。
スーパー不良猫、シーちゃんとの信頼関係が少しずつ変化し始めたのは、確か「ただの預かり猫じゃなくて、ちゃんと家族として接していこう」と心に決めたころだったと思う。何をするにもいちいちシャーシャー威嚇されるのはこちらも面白くないし、人馴れしない子なんて全然かわいくない。・・・と思っていた。でも、シーちゃんの気持ちになって考えてみれば、我が家に来た当初、ニンゲンが二足歩行で室内を歩いていると捕まえられて恐いところに連れて行かれる・・・と、何度も同じ経験をすれば当然パブロフの犬状態で、条件反射として逃げ惑うようになってしまうのは仕方ないと思った。その辺の気持ちをわかってあげないといかんなぁとちょっと反省したのだった。どんなに警戒心が強くてコミュニケーションが取りにくい猫でも、こちらの気持ち次第で状況は良くなるし、猫の性格も変わると学ばせてもらった。
今も相変わらず、機嫌が悪いとシャーッと怒られ、声もかけずに撫でようとすると逃げられてしまうことはあるが、2年前に比べたら断然状況は良くなっている。手間隙かかるチビ猫(ゴエ門)を育ててきた苦労を”ネコの子育て初級編”とすると、人馴れしない子(シーちゃん)を育てるのは”ネコの子育て中級編”かな・・。とすると、上級編はきっと病気や障害等ハンディを背負った子とか老齢ネコの介護をするときだろうな・・・などと最近は思ったりしている。