逃走体勢

シーちゃんの定位置は座卓下の座布団の上。しかも必ず左を向いている。何かあったらすぐに逃げられるように、いつも逃げ場を確保している。災害等の危機管理をする巷のニンゲンよりもある意味、賢い。でもその反面、ちょっと寂しいなと思うのは、こちらは別に捕まえるつもりもないし、むしろ撫でてあげたいと思っても、手を伸ばすとすぐに玄関の穴倉へ一目散に駆けていってしまう。機嫌が悪ければ座卓下の彼女を覗き込んだだけで「シャーッッ!」と威嚇される始末(涙) 猫のゴエ門には愛想がいいのに、ニンゲンにはまるで・・・と言っても過言でないくらい信用がない。
運良く撫でることができたとしても、顔や体の左側のみ。ブラッシングするときも、左向きの姿勢のままなので左側しかブラッシングできない。右側をやろうとして手を伸ばすと嫌がって逃げてしまう。いつも逃げやすい方向を向いて座っているのは、捕まえられそうになったらすぐに逃げられるように・・・と準備しているからのようだ。
そもそも、うちにつれてきた当初は手のつけられない凶暴ネコだったうえ、最初のコミュニケーションで失敗しているので、いじめるつもりがなくても病院やらお見合いやらで、いちいち捕まえてキャリーに押し込まれ。。。シーちゃんにしてみれば、イジメ行為としか取れないのも無理はない。だから、ゴエ門との関係でいったんは気持ちが落ち着いてニンゲンとのコミュニケーションが良くなっても、彼女にとって何かイヤなことがあれば、またすぐ信頼関係が壊れてノラ化してしまうのは仕方がないことだった。撫でられるようになっただけでも御の字かもしれない。
2007年8月からお預かりを引き受けたものの、結局何度かあったお見合いもダメになり・・・そのうちどこからも声がかからなくなった2008年の7月に正式にうちの子に迎え入れたのだが、いまだにニンゲンが家のなかを歩き回っていると家中逃げ回る。外から客人が来ようものなら客人が帰るまで絶対に姿を見せず穴倉で息を潜めてじっとしている。。。という、筋金入りの用心深いノラ猫気質のままだ。
彼女にとって我が家は本当に住みやすい家なのだろうか?と考えることがある。いつも香箱座りをして寝ているときも決して油断しないシーちゃんを見ていると、何もそこまで警戒し続けなくても・・・と思うのである。