スーパーノラ猫を飼う理由その2

もうひとつ理由があるとすれば、私の記憶のなかに模範となる人がいたからだと思う。その人は猫との暮らしに30年以上のキャリアがあって、歴代の猫たちの暮らしぶりを折にふれて垣間見させてもらってきた。初代の猫は茶トラと黒猫の2匹で、それ以降もそのお宅には時期をほぼ同じくして迷い猫で住み着いた猫がいつも茶系の猫と黒猫の組み合わせ・・・というパターンが3代も続いている。その尊敬すべき猫のエキスパートのかたをJさんと呼ぶことにする。
迷い猫だから当然性格なんて最初はわからないのだが、先住猫たちが歳を取っていたりすることもあってほとんどの猫たちはみんな大人しくて穏やかな猫たちばかりだった。そこへ6番目の猫となるキジトラのオスがやってきてから生活の様子が変わった。二代目のジンジャー猫が亡くなったあと、迷い込んで住み着いたこの新入り茶系三代目猫は傍若無人に振舞うので先住猫(黒猫三代目)がすごく嫌がったらしい。それでもJさんは若いオス猫を追い出すことをせず、忍耐強く躾け続けたそうだ。すると半年もすると、そのオス猫はそこのお宅の暮らしのマナーを覚え、家で暴れることもなくなり、今では客人をもてなすほどサービスのいい子に変わった。
Jさんが暴れん坊のそのオス猫にいつも何か話しかけながら優しく撫でている姿が印象的だった。別にそれがどうってことではなかったのだが、実はそのJさんと猫のやりとりの様子が後でシーちゃんと信頼関係を作っていくのにものすごく役に立つことになった。