スーパーノラ猫

この年、仔猫を自宅で預かるのは2回目。前回預かった3匹のチビにゃんこたちはすぐに里親さんが見つかったので、今回もそんなに時間はかからないだろうと思っていた(長くても3ヶ月くらい)。うちで人間との共同生活ができるようになって、ちょっとでも家猫らしく更生されればいつでも里子に行けると高をくくっていた。

日本橋の路地裏で生活していたこの八割れタキシード猫たちは、人間に心を許すスキすら見せない筋金入りのスーパーノラ猫のお母さんにしっかり教育されてきたようだ。「人間なんて信用するんじゃありませんよ」「人間からご飯を貰うなんてノラとして恥よ!ノラはノラらしく野生化した猫として自分の食べ物は自分で見つけなさい」「人間が近寄ってきたら思いっきり大きな声で威嚇してやりなさい」・・・などなど、ノラ猫道の英才教育を受けたに違いない。ケージ越しに覗き込もうものなら「ンギャァアアアア!フーーーッ!」恐ろしい叫び声をあげて威嚇してくる( ̄ω ̄;) 人慣れしていない猫はたくさん見てきたけれど、ここまで人間ギライな猫は見たことがない。。。 うちで生活させて性格が良くなるのかどうか・・・だんだん不安になってきた。

初日は2匹でケージに入ってもらっていたがメス猫のシーちゃん(シャーシャー言うからシーちゃんと命名)がものすごい勢いで威嚇するので、このままではいっしょに連れてきた大人しいタッくん(保護後タッチーと命名されていた)まで性格が歪んでしまうと思い、思い切ってタッくんをケージから出してお姉ちゃん猫と距離を置くことにした。お部屋を自由に行き来できるタッくんは時々威嚇するものの手を伸ばして触ることもできるし、実は抱っこされても意外と大人しく喉を鳴らすほどだ。人間とのスキンシップは大丈夫なので、こちらは家猫として更生されるのも時間の問題といった感じ♪

ところがメス猫のシーちゃんは、この世のものとは思えないものすごい形相でシャーシャー言い続けている。ケージ越しに覗き込むだけでバシバシッ!!とパンチが飛んでくる有様。。。こちらも勢い良く引っかかれて怪我するのはイヤだし、いちいち威嚇攻撃されるのでだんだんと腹が立ってくる。相手が怒りモードなのでこちらも猫と同じテンションになって反撃モードに。。。つい猫用オモチャのプラスチックの柄でシーちゃんを「ウリウリ」とつっついてしまった。当然のことながらシーちゃんは余計逆上して鼻を真っ赤にして怒っている。本当はネコと同じテンションでこちらが怒ったり攻撃すると猫との信頼関係は完全にぶち壊しになってしまうとわかってはいるのだが、やられっぱなしでビビッているのはしゃくだから、ついついいじめてしまう。そんなことが何度かあって( …って、猫の気持ちがわかっていたら絶対やっちゃいけないことなんだけど)、これが後々シーちゃんとの関係にヒビが入って仲直りが出来ない最大の原因になってしまった。
手ごわい仔猫を相手に新たな猫の子育て苦闘の日々がはじまるとは、そのときは想像もしなかった。